シリーズ「こういう会社にグローバルニッチトップ企業になってもらいたい」第4回
こんにちは。公認会計士の山本です。
シリーズ(「こういう会社にグローバルニッチトップ企業になってもらいたい」)4回目は、株式会社東京自働機械製作所という会社です。この会社は包装機械をメインに、そこで培われた技術力があるからなのだと思うのですが、会社の製品群の区分では「生産機械」と呼んでいる、各種の生産ラインや組立機械、検査装置等も手掛けている会社です。
直近5年で売上高が大きく伸びていることが分かります。
売上高が増加している要因は、生産機械の増加であり、地域的には欧米、それも Johnson & Johnson Vision という特定の顧客向けの売上の増加であることが見て取れます。(黄色で色付けした部分)
それを除くと5年間、部門としては包装機械、地域的には日本と東南アジアで構成される売上は、大きな増減なく推移しています。
また、全体ではプラスの利益を計上していますが、2020年3月期の「包装機械」部門の部門別営業利益はマイナスであり、Johnson & Johnson Vision 向けの売上が殆どを占める「生産機械」部門に大きく依存していることが分かります。
次に、これらの情報を見て、私が思ったことは、
「生産機械」について、Johnson & Johnson に認めてもらえる「力」があるのであれば、同社以外にも商売が獲得できるのではないか、「包装機械」については、包装機械に対する需要が存在するのは日本に限った話ではないので、海外でも売っていけば良いのではないか、
の2点です。
恐らく、会社の方からすると、両方とも、とっくに取り組んでいる、ということなのではないかと思うのですが、数字を見る限りでは、結果として表れていないように思います。
そして、結果が出ない原因ですが、推測するに「(海外であろうと)良いものを作れば必ず売れる。」という考えがあるのではないかと思います。会社のHPの沿革には、上から下まで「〇〇(機械の名前)開発」という出来事が並んでいます。恐らく、モノを作ること、開発することが、この会社さんにとっては、全てなのかも知れません。
ただ、海外に関しては、それだけでは足りないのではないかと思います。
若し、会社の製品が、自動車や電気、半導体関連の部品や機械であれば、良いものを作り、日本や東アジア地域に存在する、それらの産業の巨人に認められることで、世界に届くようなケースもあるのだと思います。日本の「グローバルニッチトップ企業」の多くは、そういう風にして「グローバルニッチトップ企業」になっている訳ですし。
ただ、この会社が扱う製品のように、そういう構造の外側にある製品の場合、結局、自ら売っていく以外に方法は無いのではないかと思います。
まあ、これはいつも言っていることではあるのですが、ここが日本の「グローバルニッチトップ企業」と、ドイツの「隠れたチャンピオン企業」の違いなんだと思うのですが。
10年くらい前迄ならいざ知らず、今の、そして、これからの日本の立ち位置を考えれば、そろそろ、そういう発想の転換が必要なのではないかと思います。若し、この会社の経営層の方が、このブログを見る機会がありましたら、是非、そういう発想の転換をお考え頂きたいなと思います。
(いつものおまけのグラフ - 日本の立ち位置)