11/06/2020

株式会社ナカボーテック(1787)

 シリーズ「こういう会社にグローバルニッチトップ企業になってもらいたい」第3回


 こんにちは。公認会計士の山本です。

シリーズ(「こういう会社にグローバルニッチトップ企業になってもらいたい」)目は、株式会社ナカボーテックという会社です。この会社は様々な環境に設置されている施設や設備に使われている金属材料を、腐食から守る「防食」専業のエンジニアリング会社で、国内首位の会社です。

過酷な環境下で使われる施設や設備の中の金属を腐食から守ることにより、施設や設備を長持ちさせることができますので、高度成長期に作られた公共構造物が寿命を迎えつつあるにも係らず、財政難から大規模な取替投資をすることが難しい今の日本には無くてはならない会社です。

事業区分別の売上高は以下の通りです。公共事業を主体とする港湾事業がメインであることが見てとれます。

港湾事業地中事業陸上事業
2019年3月63億円24億円9億円
2020年3月67億円24億円8億円

    「港湾事業」:岸壁、桟橋、護岸、沖合構造物、防波堤、取水・放水施設等

    「地中事業」:ガス、水道、石油等の埋設管、地下タンク、基礎杭等
    「陸上事業」:復水器、熱交換器、冷却器、ポンプ、水処理施設等

市場の評価を見ると、PBR1.32倍、PER18.84倍と、まずまずの評価を得ています。
考えられる理由としては
  1. 上述の通り、今の日本にとって無くてはならない事業であり、実績から見ても、大きなブレのないビジネスを展開していること、
  2. 2019年5月の取締役会で、株主還元を厚くする決定をしていること、
の2点かなと思われました。

従って、このままでも十分と言えば十分と思うのですが、

これが若し、欧州企業であれば、99%、海外事業を行っていると思います。

なぜなら、公共構造物が老朽化しているのも、政府や自治体の財政が厳しいのも、日本に限った話ではないからです。

会社HPの「海外事業」に紹介されている施工例を見る限りでは、同社の海外事業はODAや日本企業が関与しているケースに限られ、会社が自ら海外の現地需要を獲得しにいっている様子は見られません。

ここで海外を目指すか、それとも国内で良しとするか。

即ち、良い技術はあっても、その技術だけでは自動的に海外に届かない時、それでも自ら海外を目指すか。この意識の違いが、多くの日本企業とドイツの「隠れたチャンピオン企業」の違いだと思うので、

この会社には、是非、「グローバルニッチトップ企業」を目指して欲しいと思います。


(いつものおまけのグラフ - 日本の立ち位置)