11/22/2019

TOEIC信仰

公認会計士の山本です。

日本では、就職でも、転職でも、昇進でも、
TOEICの点数が非常に重要な役割を果たしています。
ただ、私は、自分自身の個人的な経験から、TOEICの点数は、
実際に現場で使える英語力を全く表していないと思っています。
と言うのは、転職活動に必要と考え、20年程前に930点をとり、
「TOEIC930点です、英語ができます」と言って転職活動をしましたが、
実際の力を考えると「詐欺だな、これは」と思っていたくらいですので。
十数年後、当時、仕事で英語を使う機会が増えたので、
英検を受けてみようという気持ちになり1級を取りましたが、
英検の方は、実際に現場で使える英語力を表している、というのが実感です。
恐らくこの差は、其々の試験が日本人向けに作られているかどうか、
という一点に尽きるのではないかと思っています。
英検の方は、日本人だけのために作られた試験なので、
その級に期待される能力を有する日本人か、識別できるように
試験自体が設計されているのだと思うのですが、
TOEICの方は、日本人だけが対象という訳ではありませんので、
中には、TOEICで高得点が取れれば、
Native並みのレベルに到達してしまうような種類の母語、
例えば、英語の属するゲルマン諸語、
を話すような人たちがいるのではないかと思うのですが、
英語の母国と、
ユーラシア大陸を挟んで反対側の島国の言葉である
日本語を母語とする人間にとっては、
記号処理の延長線上でも、得点を伸ばせてしまう作りとなっているため、
TOEICの高得点が、その点数に期待される言語能力を伴っていない、
という事態も起こり得るんだと思います。
とすると、何故、英検ではなく、TOEICなんだろうという気持ちになります。
推測するに、恐らくそれは、使い勝手が良い、ということと、
もう一つは、英語、英語と言われているほどには、
英語が出来なければ成り立たない仕事、というのは多くないから、
ということなんだと思います。
先ず、使い勝手が良い、というのは、
TOEICは1点刻みで結果が出るので、評価に使いやすい、
という点が大きいと思いますし、
そういう性質を有する英語の試験で、TOEIC以外に他にあるか、
と考えてみても、思い付きませんので。
次に、英語が、言われるほどには、必要とされていない、という点ですが、
英語ができる人でなければ本当に困る、という類いの求人であれば、
TOEICの点数は足切りくらいの位置付けで、
其々の会社が自ら、面接や筆記試験等、
会社が必要とする英語力を求職者が有するか、
確かめる手続を必ず入れている筈です。
若し「TOEIC930点なら英語は大丈夫ですね」
と、それだけで採用する会社があるのであれば、
「TOEIC詐欺」に遭ったことのない会社か、
この応募者は、英語を一生懸命、勉強してきたんだろう、くらいが分かれば十分で、
英語を使いこなせなければ仕事にならないような仕事を、
少なくとも、見渡せる範囲の当面の間は、任せる予定がない会社、
のどちらかなのではないかと思います。
どちらにしても、英語が必要なことには変わりありませんので、
日本語を母語とする人だけを対象とする、
TOEICのような形式のテストがあってもよいのでは、と思います。