11/02/2018

人に罪をつくらせない

 
こんにちは。公認会計士の山本です。
「稲盛和夫の実学 経営と会計」という本の中に、以下のくだりがあります。
このように人の心は大変大きな力も持っているが、ふとしたはずみで過ちを犯してしまうというような弱い面も持っている。人の心をベースにして経営していくなら、この人の心が持つ弱さから社員を守るという思いも必要である。これがダブルチェックシステムを始めた動機である。だから、これは人間不信や性悪説のようなものを背景としたものでは決してなく、底に流れているものは、むしろ人間に対する愛情であり、人に間違いを起こさせてはならないという信念である。
以前、ある会社の経理担当者の横領の調査に関与した際、
会社の人たちが、その担当者が、人として、如何に信用できない人物か、
口を尖らせて主張するので、
私も最初は、そういう人物だから、そういうことをしたのだろう、
と思ってしまったのですが、
調査を進めていくうちに、
現金の管理、その人に任せていました、
銀行印、その人が保管していました、
通帳、その人に預けていました、
記帳、その人がしていました、
帳簿のチェック、会計事務所の人がしていました、
といったことを知るにつれ、
むしろ、その人が可哀そうに思えるようになってしまいました。
実際に、その人に会うことはなかったのですが、
記録から辿ると、最初のうちは、少額だったものが、
誰も、止めてくれなかったがために、徐々に増えていき、
どうしようもなくなっていった様子が見て取れたので。
もっと早い段階で止めてあげられていたなら、
若しくは、
そもそも、そういうことが出来ないような仕組みになっていたら、
と思う訳で。
それは、経営者であり、その人を管理する立場の人の責任だと思うんですよね。