5/22/2018

ネスレのアニュアルレポートを読んで

 

こんにちは。公認会計士の山本です。

ネスレというと、コーヒー、チョコレート、アイスクリーム、ペット用品等々、
日本のどこのスーパーでも見かけますが、
この会社の2017年のアニュアルレポートを見てみますと、
国・地域別の売上は、こんな感じになっています。

百万スイスフラン百億円
アメリカ26,678300
中国圏6,57876
フランス4,42651
ブラジル4,31750
メキシコ2,72231
イギリス2,70831
ドイツ2,68131
フィリピン2,57130
カナダ1,94723
イタリア1,78420
日本1,75120
ロシア1,62019
オーストラリア1,56918
スペイン1,52518
インド1,45717
スイス1,26215
その他24,195280
合  計89,7911,040
(参考:味の素 平成30年3月期 売上高 115百億円)
満遍なく、国・地域をカバーしていることが分かります。
また、アニュアルレポートには、
85ヵ国に工場があり、189ヵ国でモノを売っている、とあり、
ブランドに至っては、2000を超えるブランドを有している、とあります。
まあ、しかし、
こういうのを見ると、
少し残念な気持ちになります。
何が残念なのか、と言えば、
ざっくりと言ってしまえば、
私が社会人を始めた頃は、
日本企業は、日本人だけの頑張りで、
世界の中で、それなりの地位を占めることに成功した、
まさにそういう時代だったと思うのですが、
その後、若し、
こういうネスレみたいなことが出来ていれば、
って、思ってしまうんですね。
例えば、
ネスレのフィリピンでの売上は、
日本での売上よりも1千億円多い、3千億円ですが、
日本企業で、
フィリピンのように経済規模が小さく、
一人当りのGDPも小さなところで、
こういうビジネスが出来る会社というのは、聞いたことがないように思います。
多分、そのためには、相手が欲するモノを、
その人の手に届く価格で提供することが必要だと思うので、
単に、自分の所のモノを持っていくだけではなく、
現地のニーズを捉え、それを形にし、
現地の人がやる気になって働く仕組みがあり、
本社の人も、そういったニーズに対応する準備があり、
そういう現地化したモノを提供しても、
全体として、ネスレであり、
それでいて、高価格帯のブランドの信用を傷付けることもない、
ということが出来ないと、
フィリピンで3千億円は無理なのでは、と想像してしまいます。
で、これが出来るから、
中国圏、ブラジル、メキシコ、ロシア、インドでも、
同じように展開できるんだと思うんですね。
要は、経営者の発想であり、
それがあった上で、
実際にコントロールができるか、ということだと思うんですね。
そういう意味では、
日本の経営者の方々にも、
フィリピンで3千億円売るには、どういう「仕組み」が必要か、
考えてもらいたい気がします。