9/04/2019

財務省の発表している日本の実効税率29.74%は、どのように計算しているのだろうか?

  

こんにちは。公認会計士の山本です。
この時期、12月決算の会社ではそろそろ、来年の予算を立てる準備に入るため、
日本に子会社を持つ海外のお客様からぽつぽつと、子会社に適用される税率を教えて欲しい、という問合せが増えてきます。
そのため、一度、整理しておこうと思い、日本の実効税率の計算方法、それと、私が聞かれることが多いという理由から、東京横浜名古屋の実効税率を条件別に英語のBLOGにまとめてみたのですが、
改めて実際の実効税率を計算してみると、財務省のいう日本の実効税率 29.74% というのは、どの数字を言っているのだろうか、という疑問が湧いてきてしまいました。
BLOGにあるように、今年の9月30日迄に開始する事業年度に適用される税率をみると、
資本金1億円超の外形標準課税適用法人の実効税率は、
私の計算では、
東京都(23区内)30.62%、名古屋30.60%、
横浜は、同じ資本金1億円超でも、
市民税が資本金5億円未満、10億円未満、10億円以上で3つの税率に分かれ、
また、県民税が資本金2億円以下、かつ、法人税額40百万円以下の条件を満たす場合と、
それ以外の場合とで、税率が2つに分かれ、
更に、事業税が資本金2億円以下、かつ、所得金額1.5億円以下の条件を満たす場合と、
それ以外の場合とで、税率が2つに分かれているので、
同じ外形標準課税適用法人であっても、7つのケースに分類されてしまうので、
何とも言えませんが、その中で最少が29.74%、最大が30.58%という結果になりました。
従って、横浜である1つの条件を満たしている場合のみ、ぎりぎり財務省の言う
29.74% をクリアしていることが分かったのですが、
ただ、それを以って、日本の実効税率は 29.74% と言ってよいのだろうか、
という疑問が出てきた訳です。
そこで、財務省のサイトを見直してみると、
計算に使用している事業税所得割の税率として「標準税率」とあることを発見し、
地方税(事業税、住民税)について、標準税率を当てはめてみると、
めでたく 29.74% を得ることが出来ました。
ということで29.74%は、恐らくこの数字のことを言っているものと推測されました。
(確信はありませんが)
ただ、地方税は全ての自治体が、全ての企業に対して「標準税率」を適用している訳ではありませんし、東京横浜名古屋で見ても分かる通り、29.74%になるのは極々、一部のケースのみであり、実際の実効税率はそれよりも、その差は僅かではあっても高くなっており、更に悪いことにそれは 20%台ではなく、30%台に載ってしまっているので、そんな中「日本の実効税率は29.74%です」と言うのは、少し具合の悪い話のように思えてしまいました。