6/04/2019

本社の人間を派遣する? 派遣しない? -日本企業とドイツ企業の違い-


前回のブログで、私自身の経験として、中国に進出する日本企業、日本に進出するドイツ企業の双方の海外子会社に接する機会を持ったこと、そして、日本企業の中国子会社、ドイツ企業の日本子会社、どちらの子会社の社長とも日本人であったことを書きました。
順番から行くと、日本企業の中国子会社を先に見ていたため、ドイツ企業の日本子会社を見るようになった時、最初に思ったことは、「何故、ドイツ企業は、本社から派遣した人間ではなく、更にドイツ人でもない人間に、事業を任せられるのか?」 ということでした。
自分がドイツに子会社を設け、日本人を一人も送らず、現地人に全てを任せられるか、ということを考えてみれば、彼等のやっていることが、我々の感覚からすると、如何に不思議なことか分かると思います。
なので、私も最初は、この話をすると殆どの日本人がそう言うように「真面目で、誠実で、信頼できる日本人だから、ドイツ企業も任せられるのだろう」と思ったのですが、
即ち、日本子会社だけが特別で、他の国の子会社には当然、本社から派遣されたドイツ人がいて社長をしているものと想像したのですが、
そのうち日本だけが特別ではなく、基本的にドイツ企業は、本国の人間を派遣・駐在させ子会社を管理する、という発想を持っていないということを知るようになりました。
考えてみれば当り前のことですが、その国でモノを売る時、その国の人間が売った方が、余所の国の人間が来てモノを売るより、多くの場合、売れる確率は高くなると思いますし、
わざわざ本社社員を駐在させていたのでは、現地人の2~3倍の人件費は覚悟しなければなりませんし、そもそもの話、中小・中堅規模の企業では、行ってくれる人がいるかどうかすら危うい、というのは日本企業であろうと、ドイツ企業であろうと、状況は変わりません。そうすると、大企業ならまだしも、規模の小さな企業では一ヵ所、出るだけでも、なかなか大変なことになってしまうと思うのですが、
ドイツ企業は本社社員をそもそも派遣しませんので、自社製品に対するニーズがあれば、何処の国でも海外子会社を設けられます。若し、御社の同業にドイツ企業があるなら、その会社のホームページをご覧頂ければ、このことは直ぐに分かると思います。
御社が1ヶ国、2ヶ国、頑張って漸く進出し、しかも、その進出先は日本の近隣地域というのに対し、御社の同業のドイツ企業は、多い会社であれば10ヶ国以上の国に進出しており、その進出先はドイツ周辺の国のみならず、世界中に広がっています。
と、一見、良い事尽くめな訳ですが、
「それでは御社は、非本社社員、非自国人に海外子会社を任せられますか?」 
結局、ここなんだと思います。
ここを突破できなければ、今、保有する自社資源、日本人資源という範疇を超えて広げていけないのではないかと思う訳なんですね。この点については、本当の意味でグローバルに展開していくことをお考えになられている、特に人的資源の限られている中小企業の経営者の方には、是非、お考え頂きたいところです。
次回のブログでは、どうしたら任せられるのか、ということを書いてみたいと思います。